ビックカメラの販売員(回線の代理店)とバトルしてしまった話

札幌さんぽ

3/20(春分の日)の夕方に行った俺の振る舞いについては、深く反省しなければならないだろう。ああいう事は年に数回のペースで発生するのだけれども、その度に俺は「長い間克服することができていない子供っぽさ」を発揮してしまう。この性質は俺の人格や素質から由来しているとも言える。または、俺の興味本位の泉から自動的にあふれ出る水のように、自制できない好奇心でもあるといえる。

この「子供っぽさ」によって引き起こされた、他愛のない少しばかりの「ひと悶着」を、俺はここに書かずにはいられないのである。そして読んでいるあなたに対しては、この後すぐに述べるいくつかの簡単なメッセージを、どうか心に留めていただきたいと思っている。

店頭での回線新規または乗り換え契約のセールスに”警戒”せよ

俺はこれから長々と、自分の身に何が起こったのか、およびその出来事に対する所感の文を連ねていくのだが、結局のところ俺が伝えたいメッセージとは次の3つの事に集約される。

  • 家電量販店などにおける、モバイル回線や固定回線の契約の勧誘に安易に乗ってはならない。最低限一度持ち帰って検討するべき。
  • 通信回線の代理店という人種は、一見悪質にも見える回線契約の提案をしてくるが、彼らは決して悪人ではない。被害にあっても許してあげよう。
  • 自ら試行錯誤して編み出した通信回線の運用によってのみ、幸福を享受することができる。

どれも一見当然の事の様に見えるかもしれない。しかし現実的に、人間は普段はめったに遭遇しないイレギュラーなイベントに巻き込まれれば、思考の切り替えがうまくいかず、漸次的に提示される情報の整理に思考回路のリソースを奪われ、そこから合理的または論理的な思考をする回路を麻痺させられ、次第にはとんちんかんな判断を選択してしまうものだ。上述した3つのメッセージも、いざという場面ではてんで想起されないこともある。だからこそ、都会に張り巡らされたトラップへの恒常的な警戒を途切れさせては、数か月後にはすこぶる心持の悪い生活を余儀なくされる。

実際の出来事

事の発端

俺はエスタの閉店後に東急へ移転したビックカメラを訪れた。理由はただの1つ、衣類スチーマーを調達したかった。この1点に限る。

目的のスチーマー・アイロンの売り場をみつけて、とりあえず一番安いものを買おうと思った。どうやらT-fal製のものが最安で4800円程で購入できるようだ。ならばその在庫をさっさとレジに持って行って買って帰ろうと思ったら、あちこち探しても目的の在庫が見当たらない。4~5分探しても俺の目ではついに見出すことができなくて、ちょうど一番近くにいた店員さん(実はモバイル回線契約担当)に尋ねることにした。

「このT-fal製のスチーマーの在庫はありますか?」「売り場には出てないですが在庫自体はあるかもしれないので探してみます」

結局のところ在庫は見つかったようなので、あとはそれを会計のレジに持って行って購入して用事は終了。と思っていたらここで在庫を見つけてくれた店員さんが俺にひとこと「ビックカメラのカードはお持ちですか?」と聞いた。俺は「実は持っていなくて、ポイントが付かないので困ったものです」みたいに答えた。そのあと「ポイントの獲得にはポイントカードが必要です。なければ発行する必要があります。こちらの席に座ってください。そしてこのアンケート用紙に回答をお願いします。」と言われたので、何故か会計横のテーブル席に座って謎のアンケート用紙に回答を記入することになった。その内容は正確には覚えてないものの、およそ以下の通りだったはずだ。

質問選択肢俺の回答
本日の来店目的は?引越しなどによる家電調達/使用中の家電の故障/その他その他(スチーマーを買いに来ただけ)
現在利用しているモバイル回線のキャリアは?docomo/au/softbank/楽天/その他docomo/au/楽天/その他(IIjmio)
現在利用している固定回線の種類は?自由入力欄OCN

ここまで来ればこの後の展開については、深く考えなくても察することができよう。とはいえ、スチーマーを購入しようとしてポイントカードを作らされようと思っていたら、またそれすらも無関係な質問の羅列に困惑することになる。

アンケート用紙を記入して数分後、例の店員(モバイル回線契約担当)さんが俺の所に戻ってきた。ごちゃごちゃと色々話をした後、次に述べる提案をされた。

提案された内容

結局のところその店員さんはインセンティブを受けるために俺に「当店でモバイル回線の乗り換えをしませんか?色々お得な特典ありますよ」と提案してきたわけだ。それもただ売り込みにきたわけではなくて、以下にまとめられるような運用を行うことによって、通信費を極限まで抑えられると色をつけてきたのだ。

まず、運用の前提知識として以下事項がある。

  • ビックカメラでは、店内で回線の乗り換え契約を行うと、ビックポイントがもらえる。
  • 対象の契約は、以下のうちどれかへの乗り換えである。
    • ahamo
    • UQモバイル
    • ワイモバイル
    • au
    • softbank
    • 楽天
    • ビックsim
  • 貰えるポイント数は15000~20000ポイント。上記回線の種別により変動する。
  • ポイントの還元率はここまで高額なのは今だけ!

このキャンペーンを利用して半年に1度ビックカメラ札幌店で回線乗り換えを行い、2万ポイントくらいを定期的にGETすれば実質通信費タダでお得ですね!(←????)ということらしいのだ。1そして、色々な回線に触れて体験することによる、比較検討の楽しさも実感できるなどという事も言われた気がする。

ここで乗り換え先として提案されたのがUQとワイモバイルの中容量プラン。UQは基本料金3000円、ワイモバは4000円。これを6か月ごとに交互に乗り換えする。そうすれば半年ごとにおよそ18000円分のポイントバックがあると言われた。

確かに現金換算で考えれば、例えばUQモバイルの半年分の通信費(3000*6=18000円)が、ポイントバック特典(18000p)で相殺できるならば、実質的な通信費はタダで一見するとかなりお得。いや、そんなわけはなく、この提案には様々な問題点が存在する。これについては後ほど検証していくことにしよう。

ところで、この当時に俺が考えていたことを、今このタイミングで記述させていただきたい。

通信費を抑えたいと思っていたのは“事実“

実のところ、俺自身殆ど同時期にモバイル回線の乗り換え自体は検討していた、というよりこの記事を書いている今現在も検討している。その理由は、単純に通信費のランニングコストを抑えたいがため。アンケート欄に先述したように、俺は現在ahamo/povo/楽天最強プラン/iijデータeSIM(2GB)の4つを契約していて、このうちamaho(月3000円/20GB)を別回線に乗り換えて費用を抑えたいと思っている。俺が乗り換え先として検討していた回線は以下の3つに絞られる。

  • povo(月0円/0GB) + iijデータeSIM(月660円/5GB)
  • 日本通信の10GBプラン(1300円くらい)
  • 楽天最強プラン(月1000〜3000円/無制限)

このうち楽天の契約は断念した。理由はサブで契約済みの楽天回線を2週間メインとして利用し、実用に耐えうるものではないと判断したためだ。その反面、povo + iijのデュアル運用は、現在サブで利用しているiijの使用感的に実用的な気がするので最有力候補として考えている。

そしてもし仮にpovo+iijを半年間運用した場合のコストは660 * 6 + 3200= 7160円。3200円は契約時の事務手数料だ。ahamoを半年利用した場合と比べて10840円節約できる。そして俺はこの節約したランニングコストをGamePassの定期購読に割り当てて、バンカズをクラウドゲーミングでプレイするつもりだ。

今回の提案の問題点

提案内容自体のデメリット

先述した店員さんの回線運用の提案について、この記事を読んでいる貴方も様々な意見がある事だろう。俺はこの提案に対して、以下に述べる問題点をここで指摘したい。

  1. 事務手数料のコストを全く考慮していない。
  2. 特典のポイントが「ビックポイント」であること。これはビックカメラおよび同系列の店舗でのみ、会計時の値引きに利用できるものであって決して日本円相当の汎用性を持たない。よって通信費が実質相殺されるというのは間違いであり、顧客に対して誤解を与えかねない危険な謳い文句である。
  3. そのため、日常的に食料、生活用品、医薬品、各種消耗品などを全てビックカメラに依存しているヘビーユーザーでもなければ、半年に2万ポイントを獲得しようが大抵は腐らせることになる。
  4. 色々な回線に触れて比較検討する楽しさがあるとは言っても、実際に契約できる回線種別はdocomo,au,softbank,楽天の4回線に限られている。MVNOは一切考慮されていない。楽天を除けば3キャリアの性能なんて結局は似たり寄ったりなので、別段比較検討の楽しみも実感し難い。
  5. 半年に一度の頻度で、回線契約のためだけにビックカメラの店舗を訪れるのは精神的負担が大きい。

提案の内容自体に限った問題で言えば、上記のことが言えるだろう。俺はこのうち2、3の事項をその場で指摘したが、これに対する店員さんの反応については後述させていただきたい。

ここで、1つ1つの事項をより詳細に述べることにする。

まず、1についてだが、俺はこの提案を受けた当初、月々の通信量のみを提示され、それをポイントバックの値と引き合いに出されて「実質タダ」的な売り方をされた。しかし、実際にユーザーが支払うのは契約時の事務手数料+半年分の通信費であるはずなので、仮に最大の2万ポイントを受け取っても最低1000円は支払うことになる。どう見てもタダにはなってない上に、発生しうるコストを予め隠蔽するのは少々悪質に思える。

2はこの度最大の問題で、楽天やdポイントのように汎用性のないポイントを2万円分取得したところで使い道がない。現金と比べてはるかに汎用性の劣るポイントを、あたかも2万ポイントが現金と同等の2万円相当と謳いながら契約を誘導するのは甚だしく強引な上に何か悪意を感じる。以上の理由から3の問題点が派生して浮上する。

4については、店員さんの発する「いろんな回線」というのは、厳密に言えば「店側が売りたい契約回線のみ」を指し示していることに注意。日本では4キャリア以外にもiijや日本通信やmineoなど性質の全く異なる回線や多数存在する。にもかかわらず提案される回線はその中の一握り、4キャリア回線とそのサブブランドのものに限定されている。これは代理店側が回線キャリアとの契約により、顧客の獲得のたびにインセンティブを獲得できる仕組みになっているため、必然的に提案できる回線の種別は契約先のキャリア以外にない。ここに顧客側の本意や好みは全く反映されていない。店員側はあくまでインセンティブのために「自分が契約させたい回線」のみを提案してくる。

そして、5に記載のあるように、忙しい社会人が半年に1度回線契約の見直しを検討すること自体、精神的にも時間的にもリソースが惜しいことは言うまでもないだろう。

提案に付随するその他の問題点

これまでは提案そのものの内容に関する問題点を列挙した。しかし、提案内容そのものではないが、この出来事に付随するその他の問題点を少なくとも3つ、以下のように列挙することもできる。

  1. 勧誘の動線が強引かつ悪質である。
  2. 提案先の個人個人の経済状況、スマホ回線のユースケースを全く考慮していない。
  3. ああいえばこういう。(俺自身povo+iijのデュアル運用を検討していることを半ば破棄させるように、自分の提案のメリットのみを強引に仕立て上げる。これにより後述する論争が勃発する)

こちらも1つず詳細を見ていけば、1についてはそもそも俺のようにスチーマーを買いたくってフラっと寄っただけの人間に対して、ビックポイントを餌にして最終的に回線契約を獲得しようと試みるのは、仕掛けられてる側からしてみれば尋常であればかなりのストレスになることは自明だろう。そしてこの導線は、一見客側が得するための餌を少しずつ、そしてさりげなく顧客の目に写させておきながら、その裏で真の自分の欲望(回線契約の取得)を隠蔽している。すなわち、自身では後ろめたく思う欲望(回線契約の取得)を満たすためだけに、それを隠蔽しつつひどく煩雑な手順を半ば強引に顧客に踏ませて、最終的には自身の欲望を解決しようとする、自分本位のスタンスを見て取れる。しかし、このスタンスを検出したからといって、その主体を俺たちは非難すべきではない。この理由については後述する。

2について。これは以下に述べる前提により、基本的にはUQワイモバも月5GBにも満たない程度の通信しかしない人へ提案すべきプランではないだろう。そして中容量プランなどはもってのほかだ。なぜかというと、俺のような月々の通信容量が5GBにも満たない者は、通信品質を殆ど重視しないからだ。重視しているのは「最低限通信したい時に通信できること(可用性)」「以下無駄な通信コストを発生させなか(効率)」だ。UQ、ワイモバイルは割引施策として、auひかりおよびsoftbankAirの同時契約により、モバイル通信の費用をおよそ半分程度に抑えることができるようになっている。しかし、モバイルためだけに固定回線を別途乗り換え契約するのは負担が大きい上に、そもそも固定回線を必要としていない者もいる。auひかりはNTTの光回線各種と比べると、対応地域も少ない。auやソフトバンクに囲い込まれる覚悟があるならば検討しても悪いことなないだろう。しかし、大半の市民は固定回線契約のような面倒な手続きを1つクッションに挟むよりも、元々安く通信できる安定性のある回線を探す方が気楽だと考えるだろう。俺のようにモバイル回線の通信品質をそこまで重視しないなら、iijのような名の知れた格安SIMを契約しておけば大抵のユースケースにおいて不足を感じない。しかし、ここでも店員さんは自身の欲望を解決しなければならないので、顧客個人個人に対して、何が最適なのか、その顧客が回線に求めるものは何なのか、を見極める余裕すらないのだ。

ところで、俺は先ほど、提案内容について1つ2つ程弱点を店員さんに指摘したと書いたのだが、この結果店員さんは俺に対してどのようなアクションを起こしただろうか?そして俺自身がそれに対して起こした回答は?この事を、すなわち上記の3に関する事をこれから記載させていただきたい。

・悪いのはめちゃくちゃなノルマを課してくるキャリアの母体、つまりdocomo/au/ソフトバンク。こいつらのせいで末端の販売員は半ば先まがいの導線を引くことを余儀なくされ、更にエンドユーザーへ取るに足らない、無為、無意味な金銭的負担を課される。

俺「回線契約の乗り換えについて、今はpovo+iijのデュアル運用を検討している。iijはこれからeSIMで契約してサブ回線として運用し、使い物になれば本格的に乗り換えるつもりだ」

店員「660円で格安回線を使うよりも、3000円のキャリア回線を半年に一回乗り換えた方が幸せです」2

俺「でもビックポイントはビックカメラでしか使えないですよね?」

店員「半年に一回2万円相当の家電を購入できるんですよ、どう考えてもお得でしょ?」

俺「そんな買い物が発生することは俺の日常生活ではあり得ない。これから購入するスチーマー以外で、直近半年以内に購入した家電は4000円のスマホ充電器と、ニンテンドーSwitchで使う3000円のワイヤレスコントローラー(アマゾンで買った)以外にはない。

店員「家電なんてすぐ壊れますよね?いざというときのために貯金は作っておいた方がいい」

俺「今の自宅に引っ越して来てから3年経つけど、この間に壊れた家電は3000円のドライヤーと700円の電動眉剃りだけ。損失は4000円にも満たない。しかもこれらは引越しの前から既に所有していて使用期間は長い。洗濯機や電子レンジ、冷蔵庫もピンピンしているし冷蔵庫なんて元気すぎて夜中は些か鬱陶しいくらい。そんなに直ぐ家電を買い替えなきゃいけないくらいしょっちゅう壊れるなら見直すべきは回線の契約よりも物の扱い方でしょう」

店員「今はお一人暮らしかもしれないけど、将来同居人や家族が増えたら家電の需要も増えますよ」てんで意味がわからない。同居人が増えたって今まで使ってた家具は継続して使える。それに「将来的に俺に同居人が増える」とか現実に起こっていない空想物語をいきなり展開されても何の説得力もない。仮に増えたとしてもその時に金銭的な余裕がなくなるとは限らないし、何が起こるかは現状では予測できないんだから、その時に応じてに対処すべき。少なくともそんな未来の空想物語で”現在”において損するわけにはいかない。」

こんな調子で、俺がああいえば、店員さんは必死に自分の提案のメリットが俺にマッチしている理屈を必死に掘り出して提示してくる。俺でなければ、これを仕掛けられている顧客が覚える感情は「呆れ」か「怒り」くらいの物だろう。

そして、結局のところランニングコストを抑えたいなら、俺にとっては当初のpovo+iijmioのデュアル運用よりお得なものはない。俺は普段めったにビックカメラを利用しないからポイントも大して嬉しくない。浮いた通信費でオシャレなカフェや新しいサブスク(GamePassを検討中)やちょっとイイ感じの定食屋にでも行ったほうがよっぽど幸せ。月々の通信費が2000円も浮くなら、その欲望は十分に叶えられるだろう。

「そこにないもの」という餌

以上の出来事の導線を整理すると、これから記載するように簡潔にまとめることができる。

  1. 俺がスチーマーの在庫を探す。
  2. 見つからない。
  3. 近くの店員さんに話しかける。
  4. 実はその店員は回線の代理店の販売員。つまり「契約獲得の釣り人」
  5. 話しかけたことによって次第には強引な回線契約の提案を提示される。
  6. 時間が無駄になる。

この導線により、奇妙だが、顧客が目的のとしている商品をあえてそこに置かないこと、つまり「そこにないもの」が餌としての役割を果たす。なるほどどうして一流企業の販売戦略というのは、消費者の予想よりはるかに洗練されている。

「それは流石に考えすぎではないのか」と思う人もいるだろう。俺も薄々そのようには思う。しかし、少なくとも次に記述する事の間違いを指摘することはできないはずだ。すなわち、店側がこの相乗効果を図ったかそうでないかに関わらず、俺が事実として記載した上記の出来事が語るように、現実としてこの導線は成立してしまったことだ。

成立してしまった以上、店員が何を考えどういう意図を想定したかに関わらず、消費者目線では「トラップ」たりえるし、警戒の対象にすべきである。

以上、様々なデメリットを考慮した結果、俺は今回の店員さんの提案を当然見送りした。

店員さんは悪人ではない

ここまで書けば、この度の店員さんがさぞ碌でもないように思えてしまうかもしれない。しかし、彼は決して悪人ではないのだ。

何も知らされていない顧客に強引な動線で回線契約を迫り、拒否の意思を見せればあの手この手で自身の言説に包み込もうとするそのスタンスを非難する前に、次に記載することを俺たちは忘れてはならない。すなわち、モバイル回線の販売という業界は俺たちのような一般人が思うより遥かに苛烈な土俵なのだ。

日本では今やスマホの一人一台の所持は当たり前。回線の契約だって国民の人数分結ばれていると思って概ね間違いない。つまりスマホでの通信を必要としている人は全員、既にその欲求を解決しているのが現状だ。回線業者はこの、既に満たされた欲望の中を更に掻き回さなければならない。既に満足された欲求を「それではまだ不足している」と錯覚させ、自社の創造・提案する新たな欲求に視線を釘付けにさせなければならない。これを数えきれない数の代理店が同時に行い競争している。この上、大抵の代理店は一定のスパンで、てんで無理のある「契約のノルマ」を達成しなければならない。このような業界で「勝ち」はせずとも少なくとも「生存」し続けることが、以下に無茶な命題なのかはよく考えずとも自明だろう。もはや彼らは、自身の生存のために手段を選ぶことはできないのだ。3さもなくば「生存」のステージを脱落させられ、日常もままならない次第となる。

そんな調子なので、実際のところ「半ば強引の法律スレスレなのではないか?とも言える戦略でも取らざるを得ない、手段を選んでる余裕はない」と思ってしまう代理店側の気持ちも正直理解できる。

彼らは決して悪人ではなく、ただ自分の人生を満足に生きたいだけだ。そのために、冷静に考えれば何のメリットもない回線でも、工夫してその魅力を提案しようとしている。その意気込みを俺たちユーザー側はむしろ尊敬すべきだと思う。

俺は今回販売員とバトルしたと見出しに書いたが、別に販売員を怒りたいわけじゃない。むしろ俺のためのブログ記事のネタ有益な体験を提供してくれたことに感謝しなければならないだろう。なので、もし俺と同じような経験をした人、またはこれから経験する危険性のある人もいるだろうが、どうか販売員を悪く言ったり、攻撃したり、人格否定をしないでやってほしいのだ。彼らの努力は、根本的には彼らが生きている現実を精いっぱい守るための努力であり、他人を欺くための努力ではないのだ。

回線契約は「自分で検討して決めよう」

この時期になると、生活する環境が一転する人も多いだろう。中には進学で札幌に引っ越してきた学生や、札幌以外の地域から引っ越してきた人など。札幌は魅力的な都市ではあるけど、中にはこういう罠が至る所に張り巡らされている。こういう罠に引っかからないために、「自分の回線は自分が納得できる最高のプランを、自分で決定する」という事を心がけよう。

大抵の場合、代理店から提案されたプランや運用を鵜呑みにして得をすることはない。それどころか後悔することの方が多い。それもそのはずだ。なぜならば、自分で決めたことではないのだから。結局のところ、人は多少損が多くたって、自分の選択に自信を持って、自分好みに運用をしていた方が日常の幸福度は高い。よくわからない店員の提案をよくわからないまま鵜呑みにしたり、「期間限定で今すぐ契約しないと後悔する」などという巧みな口車に乗るのではなく、自分で選んだ選択を信じよう。というか「期間限定」と言いつつも、結局その限定は将来的に復刻することが多い。

==以下脚注==

  1. あくまでビックカメラ札幌店で行われている施策であり、他店舗ではどうなっているのかは不明。 ↩︎
  2. ビックポイントのバックがあるため。 ↩︎
  3. 後日の出来事だが、札幌地下歩行空間を歩いていたら唐突に「ビンゴやりませんか?景品がゲットできますよ」と謎のセールスマンに話しかけられたことがある。この時セールスマンは「スマホ」「回線」という単語は一切口に出さなかったが、景品の提示しているテーブルのすぐ横にキャリア各社の料金プランの一覧表があったので、すなわちビンゴを餌に次第には回線契約に誘導するつもりだったと思われる。代理店によって餌の種類は様々だが、もはや回線契約のためならあの手この手の限りを尽くし続けているのが現状。 ↩︎

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